美術の盛んな時を歴史的に眺めてみますと、画家同士が互いに影響しあい、良いアイディアは盗み合い、互いの才能を認めオマージュとしてもコピーし合いました。アントネル・ダ・メッシーナのナチュラルな絵画がなければそれに続くヴェネティア派の輝きも生まれなかったでしょうし、ミケランジェロの彫刻群がなければティチアーノの傑作ダナエもエウロペも生まれなかったでしょう。それらをコピーとか模倣というのは美術の観点ではありません。優れたものは常に模倣の対象となるべきなのです。ティチアーノの傑作がなければレンブラントもベラスケスもあの輝きを実現することはできなかったでしょう。美術愛好者の、また美術製作者の共通の熱意があって初めて創作が可能になる文化の厚みなのです。商業的な理由によって創作を分断しては実現しない文化の蓄積の上に現れる傑作です。
 


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by カネダオサム


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