絵画に限らず事物を定義するのは難しいものです。それを取り巻く環境が絶えず変化するからです。定義というものは周辺領域にあるものとの類似や差異によって概念が形成され、対象を特定できるものとなります。それに対し、近代の絵画観は周辺領域を侵食し、パイオニアであることを標榜するために、絵画が平面から盛り上げた半立体になったり、物質の描写から離れて直接物質を貼り付けたり、画像を描くことを捨てて全面を一つの色や一つのパターンで埋め尽くしたりします。それによってかつてはテキスタイルであったものやタイルや漆喰の壁面装飾であったものが絵画の一手段として登場してきました。さらに映画の映像や照明、更にそれらを模した手描きのコピーなども積極的なフロンティアとされました。すなわち旧来の定義に背くこと自体が芸術の価値と宣伝されると「定義する」こと自体が反芸術的な行為となります。それは本当に愛する絵画なのでしょうか、単に政治の遊戯なのではないかとも感じます。



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by カネダオサム


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