『現代美術』という用語を使ったときには『過去美術』という概念が暗に成立しています。『過去美術』というのはあまりに広範ですので、直近の既成美術が『過去美術』を代表するのでしょう。その『過去美術』を定義するときに絵画の形式や様態をもって定義するのは始めから簡単な『現代美術』を想定することになります。すなわち、美術館展示室に掛けられるもの、四角い平面作品、木枠キャンバスに描かれたもの、油絵具やテンペラなど既存の画材で描かれたものなど絵画の本質とは別の絵画の現実的な様態をもって定義すれば「新しい芸術」は簡単になしうるからです。硬直化した社会制度を改革して自由な場を作るというのは多分マスコミや為政者側のポリティカルコレクトネスなのでしょう。美術館以外のところ例えば街中のビルの壁面とか、誰もいない砂漠の砂の上とかを持ち出せば「美術館展示室に掛けられるもの」を超えたことになりますし、丸や三角または幾枚かを合体させて不定形にした画面に描けば「四角い平面作品」を超えたことになり、プロジェクターで映し出したり壁に直接描き込めば「木枠キャンバスに描かれたもの」を超え、『現代美術』の仲間入りすることとなります。それにしても立体を作らず立体を表現する新しいテクノロジーと宣伝されたオリンピックの「プロジェクションマッピング」の貧弱さには日本人としてとても惨めな気持ちになりました。これも同じ論法なのでしょう。





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by カネダオサム


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